70年 挑戦の軌跡
1950年の設立以来、産業のさまざまな動きを担うモーターとともに時代に立ち向かい、
チャレンジを続けてきた一端をご紹介します。
オリエンタルモーターは、未来に向けてこれからも進化を続けます。
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1950 - 1960’s
標準化技術への挑戦

「モーターは受注生産するもの」という常識を打ち破る挑戦
あらゆるモーターが受注生産ですべて手造りされていた時代。モーターは装置の一部品であり、注文に応じてオリジナルを造るのが業界の常識でした。オリエンタルモーターも、お客様の要望に沿って形も寸法も異なるモーターを1つひとつ、オーダーメイドで造っていました。しかし、将来にわたって小型モーター事業を安定させ、会社がさらに成長していくためには、製品を標準化し生産コストを下げる必要がある。この信念のもと、従来の常識に真っ向から立ち向かう挑戦が始まりました。
月産わずか200台だった時代に、型番を定め、標準品のモーターを生産・販売することにしたのです。
次々と標準化モーターを開発
標準化するために、製品を分類・整理し、最大公約数的なサイズを導き出します。これを標準寸法とし、1951年に初の標準品となるフランジタイプ「出力5W同期電動機(リアクションシンクロナスモーター)Hシリーズ 」が完成します。同時に、各種減速比を備えた専用ギヤヘッドを開発・標準化。さらにインダクションモーターやレバーシブルモーターの開発を進めていきました。
1957年、ついに標準化モーター22機種がそろいます。標準化したことで、初めてカタログができ、その中からモーターを選んでいただく販売方法を確立。「次の時代を見つめるオリエンタルモーター」の在り方を強く印象づけるものとなりました。
当初は、受注生産に慣れたお客様の反発もありましたが、標準品は納期・コスト面で最終的にお客様の利益になることを地道に説得し、支持を得ていきました。
標準品が業界のスタンダードに
標準品の良さがお客様に浸透し始めると、他社も次々とこれにならい、オリエンタルモーターの標準品が業界のデファクトスタンダードとなりました。また、モーターの需要拡大につれて、用途は通信機器などの信号用からベルトコンベアなどの動力用へと変化していきます。
高トルク、高強度のニーズに応えて発売したのがKシリーズです。要素技術から生産工程に至るまで、あらゆるところに当時の新技術を導入し、AC小型標準モーターの定番として長く愛されるロングセラー製品となりました。

静音化技術への挑戦
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グローバルマーケット獲得への挑戦
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1980 - 2010’s
静音化技術への挑戦

低騒音化プロジェクト発足
1980年代初頭、市場では主に医療機器メーカーからモーターの低騒音化のニーズが高まっていました。なかでもギヤヘッドに対する低騒音化対策の声をきっかけに発足したのが「低騒音プロジェクト」です。数々の実験と議論を積み重ね、解決策を模索していきました。
1980年代半ば、低騒音化に向けて重ねてきた努力が製品となって実を結びます。1985年に発売したFシリーズは、ギヤヘッドの低騒音化を実現した高出力ギヤードモーターです。騒音値が大幅に低減されただけでなく、独自の機構設計により最大許容トルクも大幅にアップし、軸受寿命も倍増しました。
このFシリーズの成果は新製品へも展開していきます。1987年、市場のニーズに応えて発売したニューKシリーズは、「ACモーターといえばニューKシリーズ」といわれるほど広く受け入れられる製品となりました。
静音化技術でモーターに付加価値を
2000年代に入ると、モーターの低騒音化への要望は再び高まりを見せます。医療現場や介護施設など、人に近く、静かな環境で利用される機器には低騒音が必須条件となっていったのです。2001年に発売した新しいVシリーズは、これまでに積み上げてきた静音化技術を凝縮した製品です。その技術はさらに磨きをかけ、2012に発売したKⅡシリーズに引き継がれています。社会におけるモーターの役割がさらに大きくなっていくなか、動力用のACモーターに「静音化」という付加価値が加わった画期的な製品は市場から高い評価を獲得しました。

5相ステッピングモーターへの挑戦
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標準化技術への挑戦
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1980 - 1985’s
5相ステッピングモーターへの挑戦

5相ステッピングモーター UPDシリーズ
技術提携による新製品開発
長年自社の技術だけで製品開発を続けてきたオリエンタルモーターのスタイルは、当時の業界でも珍しく、社員にとっても大きな誇りでした。しかし、これからさらに高い品質の製品をより多くのお客様にお届けするためには、最先端の技術を積極的に取り入れて新しい分野へ進出するべきであると考え、他社との技術提携を進めていきました。
5相ステッピングモーターを日本で初めて開発
オリエンタルモーターが取り組んだのは、5相ステッピングモーターの開発・生産です。5相ステッピングモーターは、精度、スピード、低振動、低騒音などの点で優れた特性をもつモーターで、当時日本での開発は初の試みでした。開発にあたっては、すでに5相ステッピングモーターで世界的に高い評価を得ていたドイツメーカーと技術提携しました。
技術提携翌年の1981年、5相ステッピングモーターPHシリーズの量産がスタートします。さらに、お客様の使いやすさを追求するため、5相ステッピングモーターに最適なドライバの開発を進めました。試行錯誤を重ねて完成したのが業界初のユニット製品、UPDシリーズです。
半導体業界での需要が拡大していく
1970年代後半から1980年代にかけては、世界初のパソコンの発売、フラッシュメモリの開発や家庭用ゲーム機の登場など、半導体の技術革新が続きます。それによって社会に大きな変化がもたらされました。この時期、UPDシリーズは半導体製造装置の業界トップメーカーに採用され、他メーカーにも波及し拡大していきました。高い性能が評価されただけでなく、モーターとドライバをユニットで購入できる利便性も好評でした。

より使いやすく、より高精度な位置決めへ αSTEP技術への挑戦
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静音化技術への挑戦
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1990 - 2010’s
より使いやすく、より高精度な位置決めへ αSTEP技術への挑戦

逆転の発想から生まれた新技術
ステッピングモーターは回転角度・回転速度をオープンループで正確に制御できるモーターです。入力パルス信号によって簡単に制御できるため、半導体製造装置や医療分析器などの産業分野で制御用モーターとして幅広く使用されています。
しかし、オープンループ制御では急激な負荷変動や急加速時に入力パルスに追従できず、脱調してしまうことがあります。1990年代は、位置決め制御をするモーターとしてサーボモーターのコストが下がり、使いやすくなって圧倒されていた時期でもありました。
そんな中、「状況に応じてクローズドループ制御をしたらよいのでは」という逆転の発想で、ステッピングモーターとサーボモーターの技術を融合させるアイデアが出されます。すぐに開発プロジェクトチームが結成され、試作がスタートしました。
次世代ステッピングモーターの誕生
オープンループだけでなくクローズドループ制御機能を持ち、状況に応じて切り替えるαSTEP技術を開発したことで、これまでと全く違う次世代のステッピングモーターが誕生しました。αSTEPは、小型化と高精度の位置決めが求められる医療機器や分析機器を中心に広がり、現在まで20年以上にわたってFAや自動機業界で多くのお客様に採用されています。
環境への負荷低減でさらに進化
2007年、大幅な発熱低減を実現して発売したαSTEP ARシリーズは、環境への負荷低減に貢献する省エネルギー製品として評価され、2008年の第29回優秀省エネルギー機器経済産業大臣賞を受賞しました。
2013年に発売したαSTEP AZシリーズでは、モーターに新開発のABZO(アブゾ)センサを搭載し、バッテリレスのアブソリュートシステムを構築。生産設備や自動化装置をはじめ、近年ではロボットでの活用も広がっています。

グローバルマーケット獲得への挑戦
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5相ステッピングモーターへの挑戦
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1970 - 2010’s
グローバルマーケット獲得への挑戦

アメリカ、ヨーロッパ、アジアへと広がる世界中への供給体制
オリエンタルモーターの海外進出は、アメリカに現地法人を設立した1978年からスタートします。その後、ヨーロッパやアジアにも拠点を開設し、グローバルマーケットを拡大していきました。
1990年代になると、EU統合や北米自由貿易協定など世界的な国際化の動きが活発化します。これに伴って、電気・電子機器に関する各種国際規格への対応が求められるようになり、オリエンタルモーターでも、製品の海外規格対応や海外電圧対応を進め、さまざまな製品をグローバルに展開していきました。また、アジアを中心とした生産体制の拡充や物流の見直しにより、世界中のお客様に対する安定した供給体制づくりも始まりました。
突然の大量注文
そのような中、中国のお客様ご相談センターに、世界的シェアのスマートフォン製造設備メーカーから大量注文の相談が入りました。これまで経験したことのない大口の注文に対して生産が対応できるのか、全く取引がなかった企業とのビジネスが成り立つのか、難しい判断を迫られます。
オリンピックや万博の開催を経て、大きく経済が発展している中国でさらにビジネスを拡大させるためにも、最後まで徹底的にやり切ろうと受注を決めました。
そこから営業、技術、製造、生産技術、資材などはもちろんのこと、周辺機器を扱うグループ会社や海外現地法人の回路生産拠点も巻き込んでの大きな挑戦になりました。
全社一丸となって工夫を重ね、新しいやり方で取り組んだ結果、お客様との約束通りに製品を納品することができました。
中国からアジアへ。マーケットは広がる
オリエンタルモーターが採用されたのは、スマートフォンに搭載される新機能に関連した新しい設備でした。採用のポイントは製品のコンパクトさにありました。当時、小型化が求められていたお客様の設備に対応できる唯一の製品だったのです。
大量かつ短納期で製品を納品した実績と、オリエンタルモーターのモノづくりの考え方、品質保証体制はもちろん、製品そのものが世界に認められたといえます。
スマートフォンの機能が高くなるにつれ、搭載されている電子部品はますます小型化し、その数も飛躍的に多くなっています。オリエンタルモーターの製品がその生産設備で多く採用されるようになったことが、中国をはじめアジア各国でのマーケットが拡大するきっかけとなりました。

標準化への挑戦
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より使いやすく、より高精度な位置決めへ αSTEP技術への挑戦
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