「ステッピングモーター」と「ACサーボモーター」の使い分けについて教えてください。
- 学くん
- てーるーよーさーん!見てくださいっ。お客様から選定のご依頼をいただいたんです!!
- 照代さん
- あら、頑張っているわね。学くん!それで選定はうまくできそう?
- 学くん
- それがですねぇ~。位置決め用途なのでステッピングモーターとサーボモーターが適していると思うんですけど、どちらを選んだ方が良いか頭を抱えていて…。
- 照代さん
- ふぅ~ん。どんな機構なのかしら。運転パターンは?
- 学くん
- ベルト・プーリ機構によるワークの搬送なんです。1回あたりの移動量も位置決め時間も短いんですよ。こういう場合は高速に有利なサーボモーターを選ぶといいのかなぁ?
- 照代さん
- ふふふ。その使い方ならステッピングモーターの方が良さそうね。
- 学くん
- え?何でですかぁ~?
- 照代さん
-
それはね、「ベルト・プーリ機構」だからよ。
サーボモーターは、ステッピングモーターと比べて許容慣性モーメントが小さいから、負荷慣性モーメントが大きくなる機構はあまり得意ではないの。ベルト・プーリ機構もそのひとつなんだけどね。
- サーボモーターを使う時には、負荷慣性モーメントの大きさに合わせて、応答性を調整する必要があってね、これをゲイン調整というの。 でも、今回のベルト・プーリ機構のように負荷慣性モーメントが大きくなる機構では応答性が上げられないのよ。
- 学くん
- んっ?ベルト・プーリ機構でもワークが軽くなれば、慣性モーメントも小さくなるし、なんとか応答性を上げることはできないんですか?
- 照代さん
- ベルト・プーリ機構は、ベルトが、伸びたり縮んだりするでしょ。こういう剛性が低い機構は、負荷慣性モーメントが不安定になりやすいの。だから、応答性を上げるようなゲイン調整が難しいのよ。
- 学くん
- ええ~!そうなんですか!サーボモーターにも不得意ってあるんですね!
- 照代さん
- その点、ステッピングモーターはゲイン調整無しで簡単に使えるから、設備の立ち上げに手間取らないわよ。
- 学くん
- なるほどー。
- 照代さん
- それに、今回の運転パターンは移動量も位置決め時間も短いんでしょ?サーボモーターはクローズドループ制御をおこなって常にモーターの動きを監視しているんだけど、その制御にかかる時間が"遅れ"(整定時間)として出てしまうの。ステッピングモーターはパルス信号に同期して運転するから、サーボモーターのような"遅れ"がほとんどないのよ。
- 学くん
- じゃあ、移動量が長い場合はどうですか?
- 照代さん
-
移動量が長い場合は、最大回転速度の速いサーボモーターの方が有利ね。 例えば、リードの短いボールねじ機構で移動量の長い位置決め運転をする場合などは向いているわね。機構の剛性も高いから、ゲイン調整で応答性を上げることでサーボモーターの能力を充分に発揮できるのよ。
- 学くん
- つまり、モーターの特徴だけではなく、剛性といった機構の特徴も含めて選んだ方が良いということですね!
- 照代さん
- そうよ。モーターを選ぶ時にはそういったポイントもおさえて選ぶといいわ。 だけど、モーターを選ぶなら選定計算もきちんとしないとダメよ。本当にご希望の動作が実現できるモーターかを確認しないとね!
- 学くん
- ハイ! 良く分かりました。 照代さんの応答はいつも明確なんで、ゲイン調整はいりませんね!
- 照代さん
- ・・・・・・?
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