
ACモーターが回転しないとき、何を確認すればいいの?
- 照代さん
- 学くん、お客様からお電話かしら。
- 学くん
- ええ、単相インダクションモーターをご購入いただいたお客様からモーターが動かないって言われているんです。
負荷を取り付けていない状態で、接続図通りに配線したそうなんです。買ったばかりで故障ではないと思うのですが、他に何を確認すれば良いですか?
- 照代さん
- 学くんにしてはお客様の状況をよく聞けたわね。
そういうときはテスターを使って次の3点を調べると原因が特定できるわ。
① 印加電圧とコンデンサ端子間電圧
② 延長ケーブルの導通
③ モーター巻線抵抗
- 学くん
- 単相インダクションモーターの接続図は下図のようになりますよね。テスターでどこを確認すれば良いですか。
- 単相インダクションモーターの接続図

- 照代さん
- まずは①印加電圧とコンデンサ端子間電圧から調べましょうか。
下図のテスターAで、モーターに電圧が印加されているかどうか確認できるわ。テスターは、『交流電圧を測定するモード:V~』を選択して測定するのよ。正しく接続されていればテスターAは電源電圧のAC100Vになるわ。
- ① 印加電圧とコンデンサ端子間電圧

- 学くん
- なるほど。次はテスターBのコンデンサ端子間電圧ですね。
- 照代さん
- その前に、コンデンサの役割は覚えているかしら?
- 学くん
- え~と、教えてもらった気がするんですが…
- 照代さん
- あら、ちゃんと教えたじゃない。コンデンサの役割は
(1) 回転方向を定める
(2) モーターの起動トルクを得る、回転中のトルクを上げる
この2つよ。
- 学くん
- すみません…きちんと復習しておきます。
- 照代さん
- しっかり覚えておいてね。コンデンサの端子間電圧を測ることで、コンデンサが接続されているか確認できるわ。正しく接続されていれば、テスターBは負荷を取り付けていない場合、電源電圧の約1.7倍になるわ。
- 学くん
- よく分かりました。
- 照代さん
- 他にコンデンサが接続されているかどうかの確認方法として、モーターの軸を手で回してみるの。コンデンサがつながっていないと力を加えた方向に回りだすわ。
- 学くん
- これはテスターがなくても確認できますね。覚えておきます!
- 照代さん
- 次に②延長ケーブルの導通を調べましょう。
これは、モーターと電源を接続している線が断線していないかを調べるのよ。この確認は電源を切った状態で行ってね。
- 学くん
- コンセントからプラグを抜いてもらえば良いんですね。
- 照代さん
- そうよ。それからテスターは『導通を測るモード:♪』を選択して下図のように測るのよ。
- ② 延長ケーブルの導通

- 学くん
- 分かりました。
- 照代さん
- コンデンサ間電圧の測定方法については動画があるから、初めて測定する人にご案内してね。動画では実際にテスターでコンデンサ間電圧を測定しながら、手順を説明しているわ。
コンデンサ間電圧測定とコンデンサの有無による動きの違いを、動画でご覧いただけます。
-
最後に③モーター巻線抵抗を確認するわね。
巻線抵抗を測定すると、モーター内部の巻線が正常かどうか判断できるのよ。
- 学くん
- これはモーターが壊れていないか調べるんですね。
- 照代さん
- 巻線抵抗を測るときは、コンデンサやケーブルを外してモーターだけの状態にしてね。テスターは『抵抗値を測定するモード:Ω』を選択して、下図のように測定するのよ。
- ③ 巻線抵抗

- 学くん
- ありがとうございます。では、早速お客様に確認してきます!
- 照代さん
- ちょっと待って学くん。WEBサイトにトラブルシューティングがあるんだけど知ってるかしら?
- 学くん
- えー・・・知らないです。すみません。
- 照代さん
- 今回のように回らない時だけでなく、回転方向や熱・音に異常がみられた場合の確認方法も載っているのよ。
- 学くん
- そうなんですね!お客様に回答する際、照代さんに教えていただいた内容とあわせてトラブルシューティングもご案内します!
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