AGVにはどんなモーターを使えば良いですか?
- 学くん
- 照代さん、AGVについて聞いてもいいですか。
- 照代さん
- どうしたの?
- 学くん
- 「AGVにはどんなモーターを使えば良いの?」という問い合わせがあったのですが、何から手をつけていいか困ってしまって…
- 照代さん
-
じゃあ、一緒に整理しましょう。
AGVとは"Automated Guided Vehicle"の略で、工場内で使用される無人搬送台車のことね。AGVにはワークを載せて搬送するタイプや、台車をけん引するタイプがあるわ。
自動で走行するために台車を誘導する方法もさまざまよ。床に敷設した金属や磁気テープを検知して走行するほか、最近ではカメラを使って画像認識したりGPSを利用したりして、自動走行させる方法も聞くわ。AGV(無人搬送台車)のイメージ
- 学くん
- なぜAGVがこんなに注目されているのでしょうか?
- 照代さん
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人手不足への対応や作業負荷軽減など、省力化へのニーズが高まっているのね。少し前までは生産ライン間の部品配給・運搬は作業者でおこなうことが多かったの。今は24時間稼働の生産ラインを無人化して、工程間の搬送をAGVに任せる傾向があるわ。レイアウトの自由度が高い生産ラインでコンベヤの代替として活躍するケースもあるのよ。
- 学くん
- これからAGVはますます増えていきそうですね。
それでは駆動モーターに求められる選定のポイントって何でしょう? - 照代さん
- まずは電源仕様ね。AGVは自走するからバッテリ駆動が大半で、電圧はDC24V、DC48Vが主流よ。
- 学くん
- バッテリというと、バッテリ切れや電圧低下が心配ですね。
どう対応するんでしょうか? - 照代さん
- 途中で止まらないように、充電ステーションのような待機場所を設けて、定期的に立ち寄って充電するのが一般的ね。
- 学くん
- 電圧が下がるとパワー不足で速度が落ちるのも気になります。
- 照代さん
- AGVに電圧監視の機器やセンサを設けるか、駆動モーター側で電圧低下を知らせる機能を持つものがあれば事前に検知できるわね。電源電圧が多少下がってもある程度駆動できるモーターを採用するのも手かしら。
- 学くん
- なるほど、それらも大事な選定ポイントの1つですね。
- 照代さん
- 次にAGVの動きを考えてみましょう。直進時は蛇行せずにまっすぐ進み、方向転換する時には左右の車輪がそれぞれ別モーターで駆動して速度差をつける必要があるわ。
では、モーターがまっすぐ進むためには何が必要かしら? - 学くん
- 左右の車輪の速度をできるだけ同期させる必要があるとなると、指令に対して速度変動の少ないモーターがいいですね。
- 照代さん
- その通り。
次にAGVの重量と外形寸法よ。台車をコンパクトにしたり、低床化するには、モーターサイズはできるだけ小型で、台車の全幅もできるだけ短く、モーター軸と車軸の連結部も省スペースにできることが条件になるかしら。 - 学くん
- これまでのポイントを踏まえると、速度変動が少なく、小型で高出力のブラシレスモーターが当てはまりますね。
DC電源入力では、BLVシリーズ RタイプとBLHシリーズが候補にあがりますね。
中空軸フラットギヤヘッドを選ぶと、車軸に直結できるので省スペース化を図れます。 - ● AGVに中空軸フラットギヤヘッドを採用した場合の例
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- 照代さん
- ちなみに、AGVを制作するとなると設計の手間が掛かるわよね。取り付けを簡単にできる製品があるのは分かるかしら。
- 学くん
- 負荷取り付け用のテーブルが一体化しているフランジ出力ヘッド(出力100Wに対応)ですね!
- 照代さん
- その通りよ。平行軸ギヤヘッドとの組み合わせで使用できるわ。
AGVのタイヤと筐体どちらも直接取り付けができて簡単よ。 - ●AGVに平行軸ギヤヘッド+フランジ出力ヘッドを採用した場合の例
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- 学くん
- お客様にフランジ出力ヘッドもご紹介してみます!
- 照代さん
- そうね。小型ならBLHシリーズ、大型ならBLVシリーズ Rタイプがおすすめね。BLVシリーズ RタイプはAGVに適した特徴があるのだけれど、何か分かる?
- 学くん
- 確か、動作できる電圧範囲が広いんですよね。だから多少の電圧変動があっても駆動できます。
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- ● 幅広い動作可能電圧範囲
- 照代さん
- ちゃんと勉強しているわね。その調子よ。
- 学くん
- ありがとうございます!早速お客様に紹介します。
- 2022年4月 最新の情報に更新しました。