ACモーターの基礎
ACモーターの動作原理、使い方、寿命、配線について、基礎からわかりやすく説明します。
3-2. 運転サイクルと温度上昇
3-1-2. ACモーターの運転定格時間で説明した通り、モーターの温度上昇は運転条件の影響を受けます。
レバーシブルモーターの間欠運転と、ブレーキパックを使った間欠運転の、温度上昇と運転条件の制限について説明します。
3-2-1. レバーシブルモーターの間欠運転と温度上昇
レバーシブルモーターを短時間の間欠で使用した場合、モーターの起動時や逆転時に大きな電流が流れ、発熱が大きくなります。
対して、モーターの停止時間が長い場合、自然冷却効果が大きいため、温度上昇を抑えることができます。
レバーシブルモーターの運転サイクルと温度上昇
当社のレバーシブルモーターの温度上昇を、複数の運転サイクルの条件ごとに比較します。
測定は、モーター仕様上、もっとも条件が厳しい状況を想定します。
また、モーターには放熱板を取り付けています。(サイズ : 165×165mm、厚さ : 5mm、材質 : アルミニウム)
条件A・条件Bのように、運転時間と同じだけ停止時間を設定すると、モーターの温度上昇を抑えることができます。
条件C~条件Fのように、停止時間が短くなるほど、温度上昇は大きくなります。
放熱板の種類と温度上昇
モーターの取り付け方を見直すことで、温度上昇を抑えることができます。
特に、取り付ける放熱板の大きさや材質は、モーターの温度上昇に下図のような変化を与えます。
温度
上昇 曲線 |
放熱板の種類
|
|||
---|---|---|---|---|
サイズ
[mm] |
厚さ
[mm] |
材質
|
塗装
|
|
L
|
-
|
-
|
-
|
-
|
M
|
150×150
|
5
|
鉄
|
なし
|
N
|
150×150
|
5
|
アルミニウム
|
なし
|
O
|
300×300
|
5
|
鉄
|
なし
|
P
|
300×300
|
5
|
アルミニウム
|
なし
|
Q
|
300×300
|
5
|
アルミニウム
|
黒色
|
L・OやN・Pのように、放熱板のサイズを大きくすると、温度上昇を抑えることができます。
M・NやO・Pのように、鉄より熱伝導の高いアルミニウムを使用することで放熱性が高まり、モーター温度を抑えることができます。
P・Qのように、アルミニウムを黒色塗装すると、温度上昇を抑えることができます。
ご注意
モーターの温度上昇は、負荷条件、運転サイクル、モーターの取り付け方、周囲温度などの条件によって変化します。
レバーシブルモーターをお使いいただく上での、一つの判断材料として参考にしてください。
まとめ
レバーシブルモーターを間欠運転するときは、運転時間と停止時間のサイクルにより、温度上昇が変化する
停止時間を長く設定することで、モーターの温度上昇を抑えることができる
取り付け環境を見直すことで、モーターの温度上昇を抑えることができる
3-2-2. ブレーキパックによる間欠運転と温度上昇
2-4-2. ブレーキパックの動作原理にて、ブレーキパックの瞬時停止時には、大きな制動電流が流れることを説明しました。
モーターの運転/制動を短時間に繰り返す場合、モーターとブレーキパックの温度上昇が大きくなり、連続使用時間が制限されます。
ブレーキパックでの運転/制動繰り返しサイクルは、以下のようにしてください。
モーター出力
|
繰り返しサイクル
|
---|---|
1 ~ 25W
|
2秒以上(1秒運転/1秒停止)
|
40 ~ 90W
|
4秒以上(2秒運転/2秒停止)
|
- ※
- 停止時間は、1 ~ 25Wの場合、1秒以上空けてください。
40 ~ 90Wの場合、2秒以上空けてください。
駆動条件によっては、モーターの温度上昇が大きくなります。モーターケースの表面温度が90℃以下になるよう、使用してください。
まとめ
ブレーキパックの瞬時停止時には、運転・制動繰り返しサイクルに制限がある
1 ~ 25Wのモーターの場合、繰り返しサイクルは2秒以上にする
40 ~ 90Wのモーターの場合、繰り返しサイクルは4秒以上にする
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